学科長挨拶
機械情報工学科
令和4年度学科長
鈴木 恵友
機械情報工学科について、少しでも関心を持って頂きましてありがとうございます。学科を代表してお礼を述べるとともに、簡単に学科の特長について説明させていただきます。
機械情報工学科では、情報通信ネットワーク技術の進展に伴って発達の著しい、3Dデザイン技術や、ネットワーク技術、グラフィックス技術を応用し、情報技術と機械技術に卓越した人材の育成と研究を行っています。
機械情報工学科の内容は、さまざまな領域の企業から高い評価を受けているために、卒業生は情報系のみならず、電気系、機械系、材料系の企業においても活躍できる場が広がっていることが特長であり、これは機械情報工学科の社会的ニーズの高さを物語っています。
機械情報工学科の特色とねらい、教官のプロフィール、就職情報、その他諸活動などについては、本学科のホームページをご覧になることで、理解して頂けるものと思います。もしも学科のことについて、さらに何かわからないことがありましたら、お気軽にご質問をお寄せください。
最後になりましたが、機械情報工学科の学生達が、我々の教育プログラムで著しく成長していく様子は、学科長として非常に印象的に思うことであり、簡単に紹介させて頂きます。
目標を持って入学した学生達は、計画的に学習を進める方法を学んで、さらに大きく成長しており、また漠然とした意識で入学して来た学生達でさえも、年を追うごとにしっかりと変化していく姿が、教室の至るところで見られます。授業のプロジェクトの中で、時にはリーダーを務め、時にはメンバーとしてチームを支えることを幾度となく繰り返していることが、人間として成長する力を養ってきているのだと感じています。
我々の教育プログラムの下で、多くの学生達が、大きな成長を成し遂げていることは、機械情報工学科の教員達にとっても大きな喜びでもあります。
機械情報工学科に興味を持たれた高校生の皆さんは、ぜひ本学科で学ぶことで貴重な青春時代を過ごし、他では得難い仲間を見つけ、勉学そして課外活動で大きく成長して欲しいと思います。
学科紹介
学科紹介パンフレット前半(PDF)/学科紹介パンフレット後半(PDF)
機械情報工学科では、機械応用工学、ソフトウェア工学、ハードウェア工学、機械科学を統合する学際的な教育・研究を行っています。デジタルカメラ、プリンターなどに代表される、ハードウェアとソフトウェアが統合された機器の重要な要素技術を対象とする機械応用工学や、ハードウェアとしての電子回路や集積回路等に代表されるエレクトロニクス工学、インターネット、並列処理、知的情報処理等に代表されるソフトウェア工学や、加速度センサ、デジタルカメラのフォーカシング機構等に代表される3次元コンポーネントをデザインするための基礎知識となる機械科学を教育研究の対象としています。
未知現象を解明していく科学的な研究から、人に役立つロボットなど社会と関わって工学的に問題を解決する開発的な研究まで、さまざまなレベルの研究が行われています。
具体的例な例を挙げると、ハイパフォーマンス・コンピューティング、並列有限要素解析,連成解析などの大規模数値シミュレーション手法や、設計支援、医療支援、物流支援、ソフトウェア開発支援、自動車などの製造設計・生産を支援するシステムの開発、超精密ナノマシニング、CMP加工、超精密ナノ計測、プロセスシミュレーションなど、多種多様な研究が行われています。
これらの研究成果は、テレビ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話、FAX、プリンター、コピー機、パソコン、(電気)自動車、航空機、医療機器、通信衛星など、多くの製品を生み出すことにも使われています。
機械情報工学と、未来や将来の夢との関係を考えてみましょう。携帯機器やテレビなどを例にするまでもなく、これから必要とされる機器では、情報技術をさらに発展させたものが今後もどんどん伸びていくと考えられています。
その中でも、特に、情報技術だけを使うのではなく、機械との統合によって、これまでになかった新しい技術が現れてくると予想されています。
SF映画のある1シーン。水しぶきが飛び、炎が揺らめき、森の木々が風に揺れるシーン、主人公の髪が風になびいています。服のしわも自然な感じで揺れています。本物と見まがうばかりなのに、実はコンピュータ上で作られたシーン。このような機械情報工学の応用場面が増えてきています。
このようなコンピュータ上でのリアルな動きを実現するためには、自然界で起こる現象をまとめた流体力学や運動学などの機械科学の知識が利用されています。
また最近、3次元テレビや3次元のビデオカメラが店頭で販売されてきています。実は我々がよく目にする一般家庭の場面だけでなく、ビジネスや研究の領域では今、情報技術の進展のおかげで、すさまじい勢いで3次元情報化技術が発展してきています。3Dデザイン技術の基礎を学んでおくことは、これから発展する3次元情報化技術を駆使することを容易にすることでしょう。
さらに、省エネルギー・高齢化社会へどう対応するか、その重要性がますます高まってきています。あらゆる機器の小型化・軽量化の傾向はさらに加速することでしょう。
そのような時代にあっても、インテリジェントカー、介助・医療・災害救助ロボット等、情報技術だけでなく、3次元空間で作業が行える機器が開発されて、初めて問題解決が図れる重要課題が増えてきています。
これからの時代には、ロボット技術やマイクロ化技術を学んでいくことで、新しい未来の世界を開いていくことができるでしょう。
機械情報工学科では、3Dデザイン技術、ロボット技術、マイクロ技術の研究グループによる連携を保った研究を行い、情報工学と機械科学を横軸に、そして3つの研究領域を縦軸に、各研究領域で相互連携を取りながら、各領域を超える新たな技術を実現していきます。
学科のあらまし
機械情報工学科を卒業した学生達が、なぜ企業から高い評価を受けているのか、そして機械情報工学科で、社会のニーズに沿った教育・研究体制が行われるようになったのか、創設時の状況についてお話ししたいと思います。
本学科の前身である機械システム工学科が設立された1980年代には、最先端の機械技術として、機械装置の中へ電子部品を一部代替する事で性能向上を図る、という技術が注目されていました。
それは、電子技術と機械技術の融合が重要ポイントであったので、メカ(機械)+エレクトロニクス(電子)を融合するという意味から、メカトロニクスというキーワードで研究が行われました。これは非常に大きな発展を遂げ、そして多くの製品に取り入られました。一例を挙げれば、機械仕掛けの時計からクォーツ時計へと発展したり、機械制御の自動車が電子制御へと移行したり、機械式のカメラ等からビデオカメラやデジタルカメラが出現したりしました。
またその頃にマイクロコンピュータが出現したことで、コンピュータを応用する可能性が広がりました。それまでは限られた施設(計算機センター)の中でしか使えなかったコンピュータの機能が、生活のあらゆる場面で使えるようになる土壌が整ってきていました。
この時期にあって、機械システム工学科は、メカトロ二クス技術とコンピュータ技術に強い技術者を育成することを目標に、教育カリキュラムを構成しました。
「ロボット技術」は、これらの技術を統合したものであったために、学科を紹介する象徴的なキーワードとしてよく使われていました。
このメカトロ二クス技術とコンピュータ技術に強い技術者を育成するという意識は、機械情報工学科となった今でも、引き継がれています。
創設時である1980年代には、マイクロコンピュータの出現により、 メカトロ二クス技術とコンピュータ技術に強い技術者を育成することを目標に、機械システム工学科の名のもとに教育・研究活動が行われていましたが、2000年代になると、コンピュータ処理能力の劇的な向上と、インターネットの爆発的な普及が進み、これまでの情報技術のニーズに対して少しずつ変化が生じました。
この技術の変化に対応するように、パソコン上で立体形状が描けるだけのコンピューターグラフィックス(CG)の技術から、実際の製品を設計する設計作業の目的にも使えるソフトウェア(3Dデザイン)の技術の研究が加速度的に進んでいきました。
また、ネットワーク技術の利用により、複数のコンピュータをつないで非常に高速な計算をさせたり、複数のマイクロコンピュータをつないだロボットや工作機械を制御して、非常に柔軟で効率的な作業を行わせたりすることが行われてきました。
このような情報技術の変化に対応して、2004年には機械情報工学科と学科名を改称し、現在、3Dデザイン技術や、ネットワーク技術、グラフィックス技術など、新たな情報技術を教育の中に組み入れつつ、教育研究の中心を「3Dデザイン」「ロボット」「マイクロ」に据えて教育を進めてきています。
このような事情から、現在、機械情報工学科では、情報工学と機械科学を横軸として教育を、縦軸に相当する研究領域として、3Dデザイン研究グループ、マイクロ技術研究グループ、ロボット研究グループを構成して、相互のグループと連携を取りながら、教育・研究を行っています。
研究機関との連携
ここでは、機械情報工学科と連携している他の研究機関を簡単に紹介したいと思います。
生命体工学研究科
生命体工学研究科
生物の優れた構造や機能を工学的に応用することによって、従来の機械・電子・化学・情報工学や生命科学などの学問領域に、新しい学問分野を開拓します。
マイクロ化総合技術センター
マイクロ化総合技術センター
本センターは、半導体LSI関連技術の、教育・研究・試作開発支援で社会に貢献します。 半導体LSI開発に必要な全ての設備(LSI設計、LSI製造、材料評価・観測、計測・テスト)を備え、 半導体LSI関連技術全体を実地に把握できる教育と、独自のデバイスを自由に試作できる優れた研究環境を特徴としています。 地域社会の要請に応え、次世代産業の創出・育成に貢献し、 地域に密着した半導体LSI技術の産学の教育研究拠点を目指します。
先端金型センター
先端金型センター
世界最高レベルの技術教育と研究開発を通じた金型産業における「人づくり、ものづくり」拠点を目指して、(1)先端金型技術の創成、(2)産業界とセンターの連携に基づく高度金型技術者の育成と技術移転、(3)科学技術立国実現への貢献、を目標に掲げています。